2014年12月05日

感想:ダナ・ボイド『つながりっぱなしの日常を生きる ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの』

「デジタルネイティブ」は幻想だとダナ・ボイドはいう | 新聞紙学的

 この記事を読んで、早く日本語版出ないかなーと心待ちにしていたのです。元々ネットと人、ネットの登場や利用によって人や社会にどんな影響や変化があるのかを何となく気にしている身として、そして自分と違って生まれながらにネットにつながっている子を持つ身として。自分に原著を読める英語力があればぐぐぐ。

 そしてやっと出たー。

つながりっぱなしの日常を生きる | 書籍案内 | 草思社

 今の10代若者(以下ティーン)は幼い頃からデジタル機器に囲まれ、ネットを使いこなす「デジタル・ネイティブ」。一方でプライバシーがダダ漏れだったり炎上したり、中毒というぐらいどっぷりはまったり、ネットをきっかけに犯罪に巻き込まれたり……そんな危ういティーンのイメージが大人の思い込み、レッテル貼りであることを多くの「生の声」から示していく、そんな感じ。

 「生の声」を収集・紹介するのみで、特に統計的処理がされているわけでもないので、これをティーン一般に広げるのは危険ではあるけど――それを差し引いても「生の声」はいろいろ興味深い。特に前半部分。誰もが集うネットの世界で、見られたくない相手(親や一部のクラスメートなど)を避けるために、仲間だけに分かる歌詞や写真の引用で表現する、あえて表向きの(無難な?)プロフィールや投稿を載せてそれ以上の追及をかわす……「特定の相手以外に見られないようプライバシー設定を」なんて古いのです。見られるのがデフォで、でも特定の相手にだけ伝わるように工夫を凝らすのです。逆転の発想やね。その他ネットサバイブの様子がいろいろと。

 そこまでしてネットにつながっていないといけない背景には、ティーンが仲間同士で何となくたむろす場所が、アメリカのリアルの場にはほとんどないことがある。普段は家と学校をスクールバスで往復、友達の家に遊びに行くにも親に車で送迎してもらわないと厳しい。ならネットで集うしかないわけで。ここらへん、子ども同士で外出できる日本とは大分違うなと思ったり。まあでも、日本も習い事やら何やらで「たむろす」時間が減っているのは似たようなものかな。
 そんな中で、ネットは「同年代のコミュニケーションの場」という、成長過程で不可欠なものを提供しているとすらいえる。なくなったら逆にマズいでしょ?ぐらいの勢い(そうは言ってないけど)。閑話休題。

 後半はネットにまつわる大人側の心配事――犯罪に巻き込まれないか、ネットいじめの問題は、といった話に、統計資料など引用しつつ「そうでもないよ」と冷静なツッコミ。そういうことに巻き込まれる子は元々プライベートに困難や問題を抱えていることが多く、そっちの援助がまず必要、というのは新しいツールやサービスが出てくるたびに繰り返されている話。
 ネットによってやりとりが可視化されたり拡散でヒートアップしたりすることによる影響はあるけど、その根底にあるティーンの思考や情動は昔とそれほど変わらない、もっと冷静になろうぜというわりとこれまで通りの話で、ここらへんはもう一歩先の話も見たかった気が。

 その他、ネットによって社会階層の分断は広がるのかとか、「デジタル・ネイティブ=ITに熟知して使いこなしている」かというとちょっと違うよーとか。うちの子見てると、デジタル・ネイティブだから使いこなしているわけではないなとはやっぱり思う。IT機器が初心者にも扱いやすくなった反面、それ以外は知らなくて済むものにもなったので、え、これができるのにこんなことも知らないの?ということはしばしばある。ぽこぽこ空いた無数の知識の穴をどう埋めていくのかなと思ったり(それはこの本の趣旨ではないけど)。

 今の若い子は自分とは少し違うんだろうなーと漠然と思いつつ、それ以上知ることもなかった自分にとっては、実際の所にずばずば切り込む感じで本当面白かったし、いろいろ見直すきっかけになった。自分が「ティーンを持つ親」でもあるので、その立場でもぐさぐさ刺さる言葉多数……ネットは危険だらけと脅して監視・制限しようとする、Wikipediaは信用できないから調べ物に使うなと言うw 反省しまするええ。
 そんな感じで、親や子どもに接する仕事の人は特にお勧めしたいこころ。
 
余談:ネットでよく見かけるヒトラーのパロディ動画(総統閣下シリーズ)はアメリカにもあるのね! というか向こうが発祥?
posted by 築城 at 13:00| 日記

2014年08月25日

石炭・化石館 ほるる

 最終日は宿をチェックアウトしてからここに。

いわき市石炭・化石館 ほるる|トップページ

 テレビ東京『137億年の物語』で見て面白そうだなと。石炭&化石という一見不思議な取り合わせだけど、元々炭坑の町である上に、有名なフタバスズキリュウを始め多数の化石が出るところなんだそうな。まあ石炭って植物の化石が原料なんだから、他の化石も出るよね。

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 例によって建物外観は公式サイトを見ていただければ。(ひどい)

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 入ってすぐの化石展示室に圧倒される。恐竜やらクジラやらの大型の化石を惜しみなく1室に詰め込んでいる感じ。しかも観客目線多し!

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 トリケラトプスと見つめ合う。

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 パラサウロロフスと見つめ合う。

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 えーとこれ何だっけ……息子が「『地球ドラマチック』の恐竜のスカーだ」と言っていたから多分それ。見つめ合う。

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 空からもカメに見つめられる。

 そんな感じで心ゆくまで眺められる。これ、恐竜展とか行ったら、人だかりをかき分けてやっと見る感じよ? 何という贅沢空間。時間が許せば1時間ぐらい座ってぼーっとしてたい感じ。化石展示はこの1室だけなんだけど、これだけのために行く価値あり。

 あと体験教室。普段は土日祝日開催だけど、夏休みは毎日やっているらしい。アンモナイトを削って標本を作るコースと、琥珀を磨いてペンダントを作るコースがあり、うちは前者にて。

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 モノホンのアンモナイトの化石。本体を割らないよう、ひたすら周囲の石を削る1時間……大変ですわこれ。結局全体の1/3ぐらい出てきたところで時間切れだったけど、楽しかったようで。

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 その後自然史の勉強などした後に、エレベーターで地下600m(体感)まで下って炭坑へ。

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 女性も半裸で働く現場から、

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 機械掘削に至るまでの歴史を、坑道を歩きながら辿る。洞窟探検気分で実は楽しいんだけど、小さいお子は怖がって厳しいかも。

 展示を見て回るだけなら1時間ぐらいかな。化石展示は本当にすごかった。こっちもアクアマリンふくしまと共にまた来たい。

 そして海の幸あんまり食べてなかったなあ……と思い、帰りの中郷SAでメヒカリ定食を食べつつ帰路に。次は食も充実させよう。

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posted by 築城 at 14:17| イベント

アクアマリンふくしま

「環境水族館」アクアマリンふくしま

 今回の本命。親子でずっと行きたかったのですよ。念願叶った。

展示


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 入口看板だけでテンション上がる。建物ちゃんと撮ればよかった……上記の公式サイトで見てもらえば。ガラス張り(いや多分アクリル)で、水族館というより植物園みたいな外観。

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 古代の魚に出迎えられる。

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 鰯の大群だーと見てたら、この後エイが来て1匹食べていった。観賞用兼食料。

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 ウナギとか。

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 ピンぼけだけどサンマとか。生きてる姿初めてかもしらん。

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 親潮と黒潮の水槽が並ぶ「潮目の海」。左が親潮、右が黒潮で間に三角形のトンネル。

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 で、なぜかここに寿司屋があり、原材料を鑑賞しながら食べる。うまかった。

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 シーラカンスにも力を入れているらしく、アイスモナカもあったでよ。

 他にもいろいろ展示あったのに、見るのに夢中で全然撮れてない……。

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 全体的に、自然光で明るい展示が多い。その分個々の生き物が見づらい時もあるんだけど、植物なども含めて自然に近い姿を見せようとしているのかなあと。建物自体、光が入る開放的な作りだしね。そこにいるだけで気持ちいい。

バックヤード


 個人的最大の目的、バックヤードツアー。
 大体どの水族館もやっているけど、参加するには開場前から並んで整理券をとる感じで、なかなか機会に恵まれず……それがここ、アクアマリンふくしまでは「随時受付」となっている。サイトやパンフレットの隅々までひっくり返して読んでも整理券がーとか書いてない。いいんですか。いいんですか?

 いいらしい。行ったら本当に随時受付だった! その日稼働しているボランティアさんの人数によっては待ち時間ありとのことだったけど、この日はすぐ案内してもらえた。

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 さっき見てきた展示水槽を上から覗く。

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 移動水族館車の掃除中。

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 配管はロマン。

 その他調餌室とか実験室とか、いろんな剥製や骨に触らせてもらったりとかあったのに、見るのに夢中で(以下略)

 ツアー用に通路を整備したりはしていないとのことで、それがまたそそる! 通路の各所に無造作に置かれたクラゲの水槽(たぶん養殖中)を眺めつつ、子どもでもそのままだと頭ぶつけそうな配管の下をくぐったり。ありのままでレリゴーですよ。素晴らしい。

 最初なので言われるままに見ていて終わってしまった……これはもう一度行かないと。活魚運搬車の水槽の内側が網目模様になっている理由は分かったけど(魚が「どこまでもいける!」と思ってごんごん壁にぶつからないように、わざと模様を描いてあるとのこと)、オレンジ&黒の配色はなぜなのか今知りたくなった。

遊んで釣って食べる


 建物の外に磯遊びができる場所があると聞いて、着替えとタオルを持っていったんだけど……暑さ+そもそも磯遊びほとんどしたことないやーというんで、子どもら早々に退散。これだから都会の田舎っ子は。

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 磯遊びができる「蛇の目ビーチ」はこんな感じ。釣り竿越しで失礼。
 濡れても着替える場所はないので(足洗い場のみ)、ついたて程度でもあるとよかったかなー。

 その代わりに釣りなど。釣って遊ぶだけでなく、釣った魚をその場で調理して食べるまでがワンセット。命の教育ということで。

3_18.jpg(家族撮影)
 釣る。釣り糸垂れて10秒以内に釣れる。

3_19.jpg(家族撮影)
 食べきれる量だけ釣ったら調理場へ。うちはやってもらっちゃったけど、自分でさばくことも可能。

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 そして食べる。今回の旅で一番おいしかった。

 さばいているのを見ていたら、お腹から餌のオキアミがそのまま出てきて、当たり前っちゃ当たり前なんだけど、ああさっき自分で釣って殺した魚なんだなあ、でもうまいなあとか。

 その他、子ども向けの展示や別館で漁師体験などもあり、さすが教育施設(ドメインがed.jpだし)。ペンギンもいなければショーもないので、世間の一般的な水族館のイメージからすると地味というか、お子によってはつまんなーいとか言うらしいけど、全然そんなことはない。自分のペースでじっくり見て参加して、1日じゃ足りませんことよ。絶対また来る!
posted by 築城 at 14:03| イベント