GoogleやAmazonの一人勝ちが続く中、「次」を目指す国内ベンチャーの動向を記したルポルタージュ。筆者が昔書いたというASCII24の記事、読んだことあるわ。この人だったのかー。閑話休題。
Web2.0やロングテール、GoogleやAmazonがいかに勝利してきたか、といったあたりを概説しつつ、それらの問題点や足りないものを整理していく。多数派の意見が幅をきかせる世界。購入や検索の履歴から最適解を導き出すことの限界。森健『グーグル・アマゾン化する社会』の指摘と重なる部分も多い。
問題提起で終わる本が多い中、本書では解決のヒントや具体的な動きにも触れているのがポイントかな。個人的に、占いサイトの事例が面白かった。詳しいことは書かれていなかったけど、おそらくは占いを通じて個人の興味・関心や性格傾向といった「内面」の情報を収集しているんだと思う。それと購入行動を結びつけて分析すると。「あなたはどんな性格?」なんてぽんと聞かれても答えられないけど、占いや心理ゲームに乗っければ答えやすいわな。
そのほかいろいろ、頭のいい人はいるもんだねえ、という話。しかし、購入行動には親しい人の意見も影響するからって、そこらへんまでSNSとかでがっちり掌握されたりしたら、正直拒否感が。購入履歴みたいな、自分一人で完結する情報だったら差し出そうという気にもなるけどねえ。とまとまりなく。
2007年03月08日
佐々木俊尚『次世代ウェブ グーグルの次のモデル』(光文社[光文社新書])
posted by 築城 at 01:15| 本
2007年03月05日
仲正昌樹『ネット時代の反論術』(文藝春秋[文春新書])
論争、と呼ぶに値しない言いがかり的なものも多い昨今、双方の目的や立場をしっかり確認し、それにふさわしいやり方で応戦しようね、という話。……「ネット時代の」は、やっぱ売るためにくっつけたのかなあ。ネットならではの話はほとんどなし。
「自分と相手だけでなく、ギャラリーを意識する」くだりはちょっと同感。掲示板やブログのコメント欄でのフレームを見ていると、ROMという存在がすっぽ抜けている、というかそういう概念すらなさそうに見えることが少なからずあるので。……ずっと考えているけど、これってどういう風に獲得されるんだろうか。
「自分と相手だけでなく、ギャラリーを意識する」くだりはちょっと同感。掲示板やブログのコメント欄でのフレームを見ていると、ROMという存在がすっぽ抜けている、というかそういう概念すらなさそうに見えることが少なからずあるので。……ずっと考えているけど、これってどういう風に獲得されるんだろうか。
posted by 築城 at 23:53| 本
2007年02月16日
森健『グーグル・アマゾン化する社会』(光文社[光文社新書])
インターネットの普及や技術の進歩によって、個人やニッチな商品といったものにも光があたるようになってきた。しかし、蓋を開けてみればGoogleやAmazonのような一部の企業が圧倒的な力を持ち、フラットどころか一極集中の様相を呈してきている。何でかな?という本。
その解の一つに提示されている「スケールフリー・ネットワーク」の話は面白かった。『Internet Magazine』巻末のISP間接続図、が個人的にツボな例えだったんだけど(笑) 一般的にはやはり飛行機の航路図かねえ。
小規模な空港間の直行便はまず出ていないわけで、普通は両方からターミナル空港への便が出ているから、そこで乗り換えて行く。そうやって、ターミナル空港の周りに小規模な空港がぶら下がり、ターミナル間は太い線で結ばれている――という形が「スケールフリー・ネットワーク」。生物の脳や、そして実はインターネットもそういう風なネットワークを形成しており、ターミナル空港がGoogleやAmazonに相当すると。
そしてその先にある、「多様性を示さないネット」の不安。Googleの検索結果の上位は「ネットセケンの多数派」で占められ、少数意見が出てくるのは数ページ後。一方Amazonのおすすめは、自分の趣味がより濃くなることはあっても、意外な発見が提示されることはない(当たり前だけど)。Googleで雑貨を探していたらあまりに似たり寄ったりのものしか出てこなかったり、「(少なくとも今の)ネットは自分の興味関心の範囲内しか見られない」という実感があったりしたので、ここらへんは激しく頷いたり。
そのほか、GoogleのページランクやAmazonのおすすめ機能のしくみも他より詳しく触れてあって(書いてある、というほどではない)いろいろ面白かった。アメリカのAmazon本体は、日本版に実装されていないいろんな機能があるのね。盛り込みすぎって気もするけど。
その解の一つに提示されている「スケールフリー・ネットワーク」の話は面白かった。『Internet Magazine』巻末のISP間接続図、が個人的にツボな例えだったんだけど(笑) 一般的にはやはり飛行機の航路図かねえ。
小規模な空港間の直行便はまず出ていないわけで、普通は両方からターミナル空港への便が出ているから、そこで乗り換えて行く。そうやって、ターミナル空港の周りに小規模な空港がぶら下がり、ターミナル間は太い線で結ばれている――という形が「スケールフリー・ネットワーク」。生物の脳や、そして実はインターネットもそういう風なネットワークを形成しており、ターミナル空港がGoogleやAmazonに相当すると。
そしてその先にある、「多様性を示さないネット」の不安。Googleの検索結果の上位は「ネットセケンの多数派」で占められ、少数意見が出てくるのは数ページ後。一方Amazonのおすすめは、自分の趣味がより濃くなることはあっても、意外な発見が提示されることはない(当たり前だけど)。Googleで雑貨を探していたらあまりに似たり寄ったりのものしか出てこなかったり、「(少なくとも今の)ネットは自分の興味関心の範囲内しか見られない」という実感があったりしたので、ここらへんは激しく頷いたり。
そのほか、GoogleのページランクやAmazonのおすすめ機能のしくみも他より詳しく触れてあって(書いてある、というほどではない)いろいろ面白かった。アメリカのAmazon本体は、日本版に実装されていないいろんな機能があるのね。盛り込みすぎって気もするけど。
posted by 築城 at 00:00| 本